- ソナーニルコラム 第1回

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★  ソナーニルコラム 第1回



 ■婦人Eの編纂記録1 

1903年2月
ホワイトハウス報道官の発言より

 悲劇的な事故と呼ぶ他にない。
 信じられないような出来事ではあるが、これは“厳然たる現実”である。
 この一連の惨事については慎重な発言が希求されており、明確な発言、断言を避けてきた合衆国政府は本日この時を以て正式に発表する。
 ニューヨーク・シティは今や地上のどこにも存在しない。
 1902年12月25日に消え失せたのだ。300万市民(※1)と共に。

(無数の篆刻写真機の作動音、及び、新聞各紙の記者たちの怒号にも似た相次ぐ質問のため、報道官の言葉が正確に聞き取れない)

 不正確な表現をお詫びする。撤回させていただく。正しくは、ニューヨークは地上から消えてはいないが、ひどく崩壊している。今や全土が廃墟と化した状態だ。実際に消え失せているのは、建物や橋ではない。人々だ。昨年12月24日には存在していたはずの約300万の人々が忽然として地上から姿を消してしまった。
 この2ヶ月間、数多の碩学と約2万(※2)の合衆国陸軍兵士とを動員して事故の原因調査及び生存者の捜索、犠牲者遺体の回収に努めてきた。諸君は先月に発行され、既に回収されているワシントン・ポストの記事(※3)をご覧になったかもしれないが……。

(再び、無数の篆刻写真機の作動音と記者たちの質問の嵐)

 静粛に……。
 ひとつずつ簡潔にお答えする。
 詳細な返答はレポートを待っていただくことになる。
 まず、調査委員会の名簿については公開できない。この史上類を見ない前代未聞の悲劇を前にして、合衆国政府は最高の頭脳を招集して原因究明に努めている。であるが故にこれは国際的にデリケートな話題であり、カダスの意向もあるということを各紙にはご考慮いただきたい。
 次に、本件の調査については特別法令102号(※4)が適用されており、合衆国陸軍の作戦行動について情報公開の義務は存在していない。
 次に、南部連合は本件に関与していない。合衆国と連合の関係は諸君もご存知の通り既に友好的なものであり、両国の間にはもはや軍事的緊張は存在していない。
 次に、私は誓って真実のみを口にしている。
 ワシントン・ポスト紙の特集記事に記載されていた数々の惨状はその多くが事実ではあり、NYが一夜にして廃墟と化した理由は大規模な機関事故(※5)と連動的に発生した多くの災害である。
 先月の発行時点で、政府はこの悲劇的事実を発表することが必ずしも人々のためになるものではないと考えていた。そのため、回収命令を発行したことと、それによってワシントン・ポスト紙が不名誉な中傷を受けたことに関して、ここに政府は公式に謝罪するものである。明日を予定している大統領の記者会見……アラスカ及びハワイ、フィリピン州を除く合衆国全土でのラジオ中継にも注目して欲しい。

 現実として、我々は大いなるものを失った。(※6)
 それは合衆国最大にして世界最大と言われた重機関都市のことではなく、合衆国経済の中心であったマンハッタンのことでもなく、合衆国の智慧の象徴たる第2エンパイアステートビル(※7)のことでもなく、我々の愛した300万の市民の消失である。
 300万の死亡と言い換えてもいいだろう。
 300万の悲劇が、我々から大いなるものを奪い去った。
 この痛ましさを我々は忘れないだろう。
 なんとしても原因を究明すべく調査委員会は現在も調査を続けている。
 祈って欲しい。すべての事態が明らかになること、そして、二度と、この悲劇が合衆国と世界の何処でも起こらないように。

 ……合衆国に、祝福あれ。(※8)


(※1 政府の公式発表によると302万4521名。この数字には、主にブロンクス地区とされる非登録市民が7万人として含まれている。このことに、保守系の政治団体からは抗議が上がっている。詳細は「295万運動」の項を参照のこと)
(※2 第10号レポートでは3万、第11号レポートでは3万5000とも)
(※3 1903年1月12日のワシントン・ポスト特集記事『ニューヨーク・シティで何があったか?』。合衆国政府当局及び東部方面陸軍の全面協力を得て、昨年12月24日以来およそ3週間に渡り陸軍によって封鎖が行われたかの地へと赴き取材を行った、とされる記事内容は当初、政府からは全面否定されていた。なお、記事を作成した記者は本発表の翌日に投身自殺をしている)
(※4 合衆国保全のための特別法令102号。軍の運用について、政府及び軍は情報公開の義務を有さない。本来は南部連合を警戒した法令であるため、本発言が行われるより以前の合衆国では、NY消失は南部連合の軍事的破壊工作なのでは? といった予想をする者も少なくなかった)
(※5 NY市独自の特殊規格であった蒸気機関群の、連鎖的機関事故とされる。カダス系技術の影響を受けない純国産機関がNY市では試験的に多数使用されていた)
(※6 このフレーズは大統領記者会見でも使用されている)
(※7 トレヴァー・タワー。エジソン財団所有の超々高層建築で、内部には財団の研究施設をはじめ、各種大学の研究所、欧州各国の碩学系組織の支部、碩学協会支部、ロス・アラモスや大協会の先端技術研究所などが存在していた)
(※8 報道官はこの日の夜に失踪した。妻に宛てた最後のメモにも「合衆国に祝福あれ」と記されている。この失踪の事実は1906年に発覚した)


【注記はすべてチャールズ・フォート氏による】


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 ■婦人Eの編纂記録2 

1903年10月
フィラデルフィア農夫の証言より

 ありゃあ間違いなく天使さま(※1)だったさ。
 おれのことをきちがいって言うやつも確かにいるさ。だが、冷えたビールの酵母(※2)に誓って俺は言うね。おれが見たのは確かに天使さまだったんだよ。こう、向こうの丘がパアッと光って……昼でもねえのに明るくなってよ(※3)、そうだよ、言わなかったか!? 俺がそいつを見たのは夜だったんだよ!
 夜でも明るいなんて聞いたことがあるかよ!
 昼より……明るかったかもしんねえな。ああ。ありゃあ間違いない。
 そいつを見ておれはたまげたのなんのって、おふくろの

(ここから南部訛りがひどく聞き取りできない)

 でまあ、そういうことなんだよ。わかったか?
 40過ぎてこんなきちがいみてえな話をするなんて思いもしなかったけどよ、おれの親父やじいさんの頃にはハドソン川沿いにゃあ魔女やらおばけが(※4)がどうとか、ブラック川のおばけ(5※)とか、オーストラリア?とかにしかいねえカンガルー(※6)がいたとか、セイラムじゃあ魔女がひでえことになった(※7)とか、そんな話はたくさんあったんだよ。だからわかるよな? おれは気が狂っちまったわけじゃあねえんだよ。不思議なことなんてあって当然なんだよ。
 俺たちはこのくそったれな灰色雲(※8)で、ちょっとだけ目がふさがれちまっただけなんだよ。そういうことに違いねえ。な? わかるよな?
 うちの親父も死ぬ前はそんなこと言ってた気がするよ。(※9)

 ところでお前さん、煙草もってねえか?

(※1 同様の証言は同地区で複数見受けられる。すべての証言者がプロテスタント系カトリック系を問わず“キリスト教徒”であるが、熱心な信者とは限らない。この農夫も最低10年間は教会を訪れていないという)
(※2 エールビールを合衆国人はビールと呼ぶことがある)
(※3 同様の証言は同地区で多数見受けられる)
(※4 スリーピー・ホロウの首なし騎士。民間伝承)
(※5 ブラックリバー・モンスター。民間伝承)
(※6 テレポーティング・カンガルー。民間伝承)
(※7 セイラムの魔女裁判。司法史の汚名とも言える大事件であり、民間伝承の類ではない。無知と偏見と恐慌状態の中で残酷な魔女裁判が行われた。ボストンのとある聖職者がこの異常な事態に気付くまでに、無実の者25名が処刑されたという)
(※8 前世紀に興った第2次産業革命、機関革命のため、世界全土を埋め尽くした蒸気機関から発せられる排煙は空を覆った。灰色雲とは、排煙混じりに空を永遠に覆い続ける混合煙雲の俗称である)
(※9 前世紀まで、合衆国には非現実的な民間伝承が数多く残っていたが、重工業の発展と科学時代の幕開けに伴いそれらは姿を消しつつある)


【注記はすべてチャールズ・フォート氏による】



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 ■婦人Eの編纂記録3 

1904年9月
《自動車王》ヘンリー・フォードの著書より

 我々は試されている。
 そう考えたことはないだろうか?
 一昨年の悲劇(※1)を無論私は一秒たりとも忘れたことはない。
 あてもなく理由を求め、根拠なき風説(※2)を頼りに愚かにも南部連合の人々を憎むことさえしたし、ユダヤの人々こそまさしく人類の裏切り者(ユダ)であり真に南部連合を傀儡としてNYを鏖殺せしめたに違いあるまいと断言もした。
 しかし、私は今やそれらの風説にもはや惑わされることはないだろう。
 南部連合は我らが合衆国がマンハッタンを失ったことによる損失を補うべく『リンカーンの遺産』(※3)の50%の供出を政府に確約した。これは、南部連合の経済活動にも著しく影響を及ぼす勇気と誇りと友情と親愛に満ちた決断であり、連合と我ら合衆国が元はひとつの国であり友であり家族であることを如実に示すものだろう。
 最早、我らの父母や祖父母たちが戦った敵(※4)はいない。
 この未曾有の惨劇を前に、我々は再びひとつになるための道程を歩み始めたのだ。
 私はこの新大陸における重工業という人類的使命にも充ちた産業の一端を担う者として、かの天才にして合衆国の父のひとりにしてNYと共に姿を消してしまったトマス・エジソン卿(※5)の教えを受けた者としてここに宣言しよう。

 悲劇を忘れよう。
 明るい未来こそが我々の見るべきものだ。

 今や我々は忘れるべき時なのだ。
 過去に囚われてはいけない。歩むことこそが我らに与えられた神の試練であり(※6)、それに気付くことこそが、我々に求められた運命的な使命であると言えよう。
 幸いにして、我がフォード社は大協会(ファウンデーション)(※7)との協力により、全世界に向けた蒸気機関式自動車の大規模輸出(※8)を計画中である。これが成功すれば、約束しよう、我々はNYを失ったことによる悲劇的損失から脱却することができると。

 合衆国は再び蘇る。
 そして、それは、明白な運命(※9)に他ならない。


(※1 1902年12月25日のNY消失事故)
(※2 根拠なきさまざまな憶測が1903年初頭の合衆国を席巻した。南部連合の軍事的破壊工作、黒人による暴動、ユダヤ人資本家による経済実験、カダスの実験的新型兵器の運用と失敗、フィリピン州の反乱工作、等々、さまざまな風説があった。先の報道官発言と大統領発表に伴い、これらの噂は駆逐されていったが、一部極右勢力は南部連合の工作説を頑迷に主張し続けていた。しかし保守の大物と目されるヘンリー・フォードの本主張に伴い、極右勢力は方針の大転換を行い、南部連合との合併を掲げ始める)
(※3 合衆国を一時的に独裁したリンカーン総統の遺産。さまざまな経緯を経て南部連合が所有されると言われており、その存在は本件で初めて実証されることとなった。莫大な合衆国の経済的損失のうち70%を南部連合は負担し、残る20%を欧州各国が、残る10%をオリエント各国が負担している)
(※4 南北分裂戦争)
(※5 トマス・エジソン。碩学王、発明王、などのカダス称号を有する天才。碩学。消失したNYのマンハッタンにいたとされる。死亡したという300万市民のひとり)
(※6 フォード氏は熱狂的プロテスタント支持者であるという。一時期はローマやユダヤ人社会を著しく非難していた事実がある。しかし、奇妙なことにフォード氏がプロテスタント教会を訪れる姿を見た者はいない)
(※7 大協会。合衆国全土の碩学たちをゆるやかに統括する組織。特殊な運営理論を用いて、世代をまたいだ世紀単位での大研究を複数行っている)
(※8 大規模輸出は1905年から開始し、毎年、多大な利益を計上している)
(※9 19世紀のジャーナリスト、ジョン・オサリバンの言葉からの引用。インディアンへの侵略行為に対する政府の正当性を“発見”した言葉とされる)


【注記はすべてチャールズ・フォート氏による】


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 ■婦人Eの編纂記録4 


1907年5月
無記名の手帳より

 大叔父さまにお願いをした。
 封鎖されたニューヨークへ行くことを、父母には言わなくても、わたしは大叔父さまにだけは明かすしかなかった。変わり者の大叔父さま。農場を経営して、機関工場も所有しているお金持ちの大叔父さま。
 祖母からよく話を聞いていたけれど、わたしは、会うのは初めてだった。
 大叔父さまはわたしの話を聞いて、わたしの瞳を見つめて。
 それからたっぷり10分の間、パイプの煙をくゆらせながら、応接間の大きな窓の脇に立って。窓の向こうを見つめたままで。
 きっと叱られるのだと思っていた。
 なのに、大叔父さまは、わたしの一生のお願いをきいてくれた。

 お前がそうしたいならそうしろ。
 ただし、野垂れ死んでも俺は知らん。
 姉さんには義理がある。だから手助けはしてやる。
 金も使ってやろう。
 お上への手配もしてやろう。
 ただし、これ以降、お前は俺の親族でもなんでもない。
 いいな。

 わたしは大叔父さまにありがとうを言って、それから、公文書館への許可証発行についての詳しい話を聞いた。高名な、あのピンカートン探偵社への依頼についても、大叔父さまが取り仕切ってくれた。お金も。出してくれて。

 わたしは約束をした。
 もしも、わたしが、ニューヨークを封鎖する軍隊に捕まったとしても。
 決して、大叔父さまの名前は出さないと。

 だからこの手帳にも。
 わたしの名前は、書かないでおく。



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